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株式会社ペライチでCTOをやっています。

サブスクリプションサービス運営者必読 「優良顧客を逃さない方法」を読んだ

最近グロースハック系の本をいろいろ読んでいるのですが、その中でもかなりの当たりだった「優良顧客を逃さない方法」紹介します。

著者はWOWOWで解約防止のために新設された部署の部長として任命された当事者です。

契約数の減少に苦しんでいたWOWOWがどのようにして解約数を減らし業績を回復させたかというリテンション施策が著者の経験をベースにかかれています。当事者だからこそ書ける具体的な施策内容が沢山盛り込まれた良書でした。

新規顧客獲得コストは既存顧客維持の5倍かかる

「1:5の法則」といってマーケティングの分野では一般的に知られているそうですが、新規顧客獲得コストは既存顧客維持の5倍かかるそうです。そのため同じコストをかけるのであれば新規顧客獲得よりも既存顧客維持(リテンション)に力を注いだ方が得策です。

マーケティングといえば一般的に顧客獲得のイメージが大きいと思いますが、本書ではリテンション施策をしっかり行うことこそ顧客満足度を高め、長期的な売上向上に貢献する方法だと説いています。

顧客数が伸びなくなったらしてはいけないこと

本書では、「顧客数が伸びなくなったらしてはいけない5つのこと」として以下が紹介されていました。

  1. 割引や無料などの「安い」を売り物にする
  2. 「今なら◯◯」とタイミングを強調
  3. プレゼントで目を引こうとする
  4. 代理店やフランチャイズ任せにする
  5. 自社の商品やサービスの価値を忘れる

ここは、サブスクリプションサービスを運営する人間としてドキッとしたところでした。特に顧客獲得数などのKPIを追いかけている場合、効果が遅れて現れる本質的な商品価値の向上施策は計画に組み込みづらく、即効性の高い割引キャンペーンやプレゼントなどの施策に走りやすくなってしまいます。

しかし、当然ながら安さが理由で加入した顧客は値下げ期間が終了すると解約してしまいます。安さ訴求は価値を理解した顧客の背中を押すために利用するためのものという本書の内容はとてもしっくりきました。

顧客データを活用しリテンションを高める

本書のリテンション施策の中でも特に印象に残っているのは顧客データを使った仮説検証です。

400万件の大量データを集約し、顧客を加入動機や継続年数などでスコアリングすることで62のグループに分けます。それぞれのグループに合わせたトークスクリプトを作成するなど解約抑止施策を行うのです。

これはどんなサービスでも再現性があって効果のありそうな施策だと思いました。本書ではカスタマーセンターが顧客と電話する際のトークスクリプトという形で施策に落とし込んでいましたが、顧客との接点がブラウザであるWebサービスであればUIに反映することで施策を実現できます。

上記の施策により、WOWOWは解約電話の引き止め成功率が20ポイントも向上したとのことでした。

まとめ

ユーザーに寄り添い顧客満足度を高めることの大事さを、具体的な事例とともに理解させてくれる良書でした。特にうちのようなサブスクリプションモデルのSaaSビジネスに携わっている人は必読の書だと思います。